2018年4月28日土曜日

日本人にとっての“integrity”とは⑲ものづくりの現場からの提言

30年前、偶像を絶対化することによって発生する「空気」の支配から日本人が脱却し、日本再生、復活するための処方箋として、山本七平氏は、原子力発電、小室直樹氏は、リニアモータカ―を推奨しました。

当時は、両方とも夢の機関として期待されたわけですが、安全神話の崩壊とその経済論的観点からも、現在は疎外されたものになり果てようしています。

リニアモータカーは、超電導によるもので、電力消費が少ないと勘違いされている方も多いようですが、超電導は車両を浮上させるためのもので、推進力に使うものではなく、新幹線よりもはるかに電力を消耗します。
小室氏が期待した時速1000km以上にはほど遠く、新幹線の速度と効率アップを目指した方が現実的です。

小室氏は、リニアによる超高速鉄道網であれば、地方と中央の往来の時間を短縮することによって、格差を是正することができ、この公共投資は疎外されることなく、ケインズ理論の乗数効果よって、有効需要を増大できると考えられたわけです。
リニアを走らせるためには、中部電力の原子力発電所の再稼働が必須でワンセットらしく、屋上屋を重ねることとなります。

今では、軍部の無責任体制の象徴であるインパール作戦、戦艦大和の悲劇と同じ道をたどろうとしています。

山本、小室、両賢人でさえも、将来を見通すことが如何に困難であることかと思うと、とても畏れ多いのですが、私もモノづくりの現場の端くれとして、自分なりの処方箋を考えてみたいと思います。

私が注目しているのは、「バイオマスカーボン」です。

現在は、石油、石炭の化石燃料系カーボンがほとんどで、植物系のカーボンは、ほとんど普及していません。

用途としては、低品位のものは、タイヤのゴム等の補強材、コピー機のトナー、鉛筆、絵の具から、高品位のものは、炭化ケイ素(SiCで、これは、次世代半導体の中心的素材となります。
太陽光、風力、小水力、波力、地熱等、再生可能な自然エネルギー発電に利用できます。

スパコンにおいては、ロスとなる発熱が1/10以下になるので、演算能力の飛躍的向上が望めます。

炭素繊維は、航空機(ボーイング787)、高級車のボディー、燃料電池用水素貯蔵タンク用として利用されます。               
リチウム電池では、全固体電池の電解質素材、負極材となります。
燃料電池では、水素貯蔵合金に替わる素材、白金に替わる触媒となります。

植物系のバイオマスカーボンは石油系のものと比較すると品質の指標となる導電性は1万倍以上、BET値(比表面積)は7.5倍、粒子径は1/20です。

石油系のカーボンでは、EV車載用蓄電デバイス材料等をはじめ、出力特性の開発は技術的に限界に達しています。

石油を高温で不完全燃焼させて生成するため、大量に電力を消費し、温度管理が困難なため、品質が不安定となります。

バイオマスカーボンは品質、コスト両面において、石油系カーボンの限界をブレークスルーして、今後ますます向上します。

石油系カーボンの原料は海外からの輸入に依存していますが、バイオマスカーボンは日本国内で調達でき、しかも地産地消が可能であり、輸送コストの大幅削減となります。

そして、バイオマスカーボンを生産することによって、農業、林業の活性化に貢献できます。
お米の「籾殻」、森林の「間伐材」等を原料として有効活用できます

「籾殻」はタダ同然で廃棄、「間伐材」は搬出されず、山林に放置されたままになっています。
1キロ20円の「籾殻」が1キロ2千円(石油系の低品位カーボンの現在の相場)以上(高品位カーボンは1キロ5千円から1万円)のカーボンとなり高付加価値商品となります。

「籾殻」においては、40%がバイオマスカーボン、40%が炭素繊維及びディーゼルエンジンの燃料となるバイオエタノールの原料となり、計80%有効利用でき、無駄が少なくなります。

また、「籾殻」は、トウモロコシ等他の一般穀物と比較してケイ素の含有率が段違いに多いのが特徴です。(「籾殻」のケイ素含有率は19.5%、トウモロコシは2.7%)

また、炭化させた「籾殻」が放射性物質のセシウムとストロンチウムの除染に有効であることがわかっています。
その高い吸着性により、ゼオライトと比較して7080%高い結果を出しています。
関連記事:https://newswitch.jp/p/8169

小室氏は、天皇を頂点とした村落共同体の崩壊が、日本人のあいだの無連帯を生んだと指摘しています。

「籾殻」、「間伐材」による農業、林業の活性化は、村落共同体の再生、復活へとつながり、地方と中央の格差是正に向かうと思います。

日本固有の太陽の恵みによる生態系循環の思想は、太陽光発電の半導体や、燃料電池による水素社会への道へも通じます。

農業、林業の活性化による日本再生、復活のためには、石油系から植物系への転換という「きちんとした方針」を打ち出さなければなりません。

イノベーションなくして、日本の再生はありえません。

日出ずる、瑞穂の国」による「森の思想」が世界を救います。

太陽とお米と森は日本の伝統、文化そのものです。
日本固有の文化が新しい文明を創造するのです。

日はまた昇る

モノづくりの精神こそ日本の誇りです。
山川草木悉皆成仏 鉄の塊りにさえ魂を込める職人気質
日本人よ、覚醒せよ

私が開発に携わっているSRモータ、発電機もバイオマスカーボンによるパワー半導体によって、飛躍的に性能の向上が期待できます。

パワー半導体の性能の指標となるオン抵抗とスイッチング速度は現状のシリコンでは限界にきています。
シリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)では、理論的にオン抵抗をシリコン(Si)の1/1000にできることがわかっています。

大手半導体メーカーではすでに1/20のオン抵抗のパワー半導体を量産化しています。

これは、石油系のカーボンを使用しているので、植物系カーボンを使用すればさらなる性能の向上が望めます。

特に超高速域から低速域までトルク変動の大きいもの(電動車両、船舶、飛行機、ロボット、ドローン等)に有効なSRモータ、発電機では、パワー半導体の性能の向上がそのままモータ、発電機の性能の向上に直結しますので、大幅な出力アップと効率改善が望め、小型化とコスト低減が可能となり、自然エネルギーの普及に貢献できます。

半導体は産業のコメと言われてきました。
「コメ」ではあっても、麦でもトウモロコシではなく、はたして羊でもありえましょうか。

「籾殻」を原料とするパワー半導体は性能、品質、コストいずれの面でも飛躍的な向上が期待でき、まさに日本の象徴としての「コメ」になるものと思われます。

唯一絶対の神と日本人の仲介者である天皇は、「コメ」を神に捧げる贖罪の儀式の祭主です。

日本人にとっての“integrity”は、あるのです。


PAX JAPONICA”への道は開かれると思います。


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