イスラム教の教えるタウヒード(多即一)とは「ちがいを大事にすることこそ一体性の土台」・バラバラでいっしょ・多様性あふれる宇宙の創造主を信じるという考え方です。
この考え方は日本の仏教の華厳経にも通じると板垣先生は言っておられます。
旧約聖書を原典とするユダヤ、キリスト、イスラムこの三つの宗教はそれぞれ一神教であり互いに排他的であるため、宗教戦争の一因とされてきました。
しかし元々同じ教えであることに違いはなく、排他的になった原因は人間が作ったもので、現実にはパレスチナにおいて、共存共栄できた時期があったのです。
さて、また話を本題にもどします。
イスラエルによるガザへの虐殺は休戦状態といえども虐殺は続行中です。
ガザは完全に封鎖されたままなのです。
物資を調達する唯一の窓口であったエジプトとの国境にあるトンネルはすべて破壊されてしまったのです。
これはガス室に閉じ込められて毒ガスを徐々に注入されているのと同じ状態です。
虐殺以外のなにものでもありません。
ガザの人たちによるインティファーダは非暴力による民衆蜂起です。
板垣先生はこれが新しい市民革命(ムワーティン革命)に発展するであろうと指摘されています。
ムワーティンはアラビア語で「市民」を意味します。
学術用語としては、近世ではラテン語が主流でしたが、それ以前の中世ではアラビア語が主流だったのだそうです。
パレスチナの人たちは元々ユダヤ人の子孫であることは述べましたが、大半はイスラム教徒です。
インティファーダが世界中のイスラムに飛び火してゆく可能性があるということのようです。
非暴力による抵抗運動は、インドのマハト・マガンジーによるイギリスからの独立、南アフリカのネルソン・マンデラによるアパルトヘイトの撤廃という勝利に導いた歴史があります。
一方、中東のイラク、シリアにおけるイスラム国(ISIS)の台頭は別の側面を見せています。
イスラム国はカリフ制を掲げました。
これは、欧米にとっては一大事のようです。
カリフとはイスラム共同体(ウンマ)の最高権威者であり、スルタン(国王、皇帝)よりも上位となります。
カリフ制をとるということは、サイクス・ピコ協定により人工的に英仏によって引かれた国境をなくすことを目指すということになるのです。
これはどういうことを意味するのでしょうか。
中東は石油の産地です。といっても採れる国と採れない国があります。
カリフ制とは中東のイスラムは国境を失くし、皆共同体となり、石油は共同体内で分配しようというわけです。
一例として、石油の採れるサウジアラビアはサウード家が支配する王国で親米です。
民衆は搾取され抑圧されていて、カリフ制を歓迎してしまう土壌があるのです。
サウジアラビアの民衆へも、ガザによるインティファーダの抵抗運動が飛び火し、王制打倒への相乗効果を生む可能性が潜んでいます。
イスラエルという国は、欧米のシオニストのための中東における石油利権の警察役というのが本来の目的であり、金儲けのために建国されたわけです。
イスラム国が欧米の人質の首を切って処刑する映像がインターネット上で配信され、その残虐性は当然非難されてしかるべきです。
欧米がテロリストと決めつけ徹底的につぶしにかかることは当然といえば当然です。
石油の利権が奪われかねないわけですから。
ISISのその手法についていけないイスラムも多いため、つぶされる可能性のほうが大きいのかもしれませんが、一度火がついたカリフ制への民衆の潜在的支持は増幅され、第2、第3のISISが出てくるだろうと思われます。
ここで大事なのは、イスラム教においては非戦闘員を殺すことは禁じられています。
たしかに人質の処刑は残虐極まりないことですが、イスラエルによるガザにおける虐殺も、欧米によるイラク、シリアへの空爆も一般市民はもちろんのこと、小さな子供たちとその母親が殺されているのです。
この非対称性を見落とすと、ことの本質を見失うことになると思います。
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