2014年11月3日月曜日

岩畔豪雄について⑤

岩畔は軍人であったとはいえ、純粋に平和主義者でした。
彼にはいくつか著作があるのですが、1970年に亡くなった直後に出版されたものに、「科学時代から人間の時代へ」という一冊があります。




結婚した当初、義母からもらったもので、今でもたまに読み返しています。
アーノルド・J・トゥインビー(イギリスの世界的歴史学者)との対談と往復書簡も掲載されています。






岩畔の没後、出版されたもので、「追想起」が付録されています。
友人代表の弔辞を椎名悦三郎が寄稿しています。




椎名は、自民党副総裁時の「椎名裁定」で有名ですが、前尾繁三郎(元衆議院議長)、灘尾好吉(元衆議院議長)と共に「三賢人」と称された人です。
官僚時代は、農商務省(柳田國男も在籍いていた時期があります。)、商工省において岸信介のもと、満州国統制科長、産業部鉱工司長を歴任しました。
岩畔は、南満州鉄道を国有化しようとして、松岡洋右や内地の財界人の反発を買います。

沖縄返還交渉の黒子として日米密約の仲介者であった若泉敬は岩畔の愛弟子です。
沖縄返還交渉自体、岩畔が若泉を椎名に紹介して開始されたのです。

戦後、フジサンケイグループを作り上げた水野成夫は、岩畔機関でインド独立工作に携わった一人です。
岩畔機関には多くの中野学校出身将校の他、東海大学創立者で、日本社会党衆議院議員の松前重義も加わっていました。松前は内村鑑三に師事しました。

水野成夫の起用にあたっては、日本共産党員時代の彼の地下活動経験を岩畔は高く評価したのだそうです。「(インド独立のために)地下活動している人たちの心は、地下活動したことのある者が一番わかる」と言っていたそうです。

岩畔は、右翼というよりは、武人であり、戦前、戦中も有能な人物は、思想背景にこだわらず重用しました。

岸信介、若泉敬、水野成夫も「追想起」に寄稿しています。









「科学時代から人間の時代へ」の内容は、岩畔の軍人としての視点を踏まえ、古今東西の哲学を綜合しようとの大胆な試みがなされています。

岩畔が言いたかったことを私なりに解釈するならば、
「恒久平和を維持するためには、武力も必要ではあるが、これからは言葉の力を信じ、どんな相手であろうとも、対話の努力をあきらめてはいけない」
というところでしょうか。

私は戦前から戦後亡くなるまで、岩畔がどうしてあんなにも大きな仕事をやり続けることができたのか不思議でしたが、岩畔が書き残した言葉の中に、すべての答えが集約されていると思っています。

岩畔の意志を継ぐ者のひとりとして、私も微力ながら世界平和に貢献したいと思っています。
そのためには今の仕事であるモーターと発電機を仕上げ、自然エネルギーの普及に貢献しなければならないと思っています。

去年の暮の都知事選において細川護煕が立候補し、小泉純一郎が応援しました。
脱原発をワンイシューとして挑んだのですが、安倍政権のマスコミ操作によって敗北したわけです。

またここにきて、細川、小泉、管、鳩山の元首相4人が連携しての脱原発の動きをみせています。
おそらく裏では小沢一郎が舞台作りをすることでしょう。

細川の祖父は近衛文麿です。岩畔が日米交渉をしたときの首相が近衛なのです。
細川元首相の意志を忖度して、独自に活動する脱原発の右翼があってもよいのではないかと思います。

毎週金曜日、首相官邸前において、脱原発のデモが行われていますが、正義派と思しき右翼の街宣車が邪魔にくるそうです。
経産省前の脱原発テントを暴漢が襲撃した事件もありました。
レイシスト(差別主義者)の在特会のデモは、警察が護衛するかのような有様です。

彼らと対峙する、脱原発の右翼の画像でも撮れれば、もっとマスコミも大きく取り上げるようになるのではないかと思います。

うちの息子も今年の春、駒込学園という高校に入学しました。
この学校は最澄の天台宗の学校です。

一年生は必ず5月に比叡山延暦寺に23日の修行に行かせられます。
精進料理なので肉は出ませんし、お茶碗の音をたてても坊さんにどやされます。
座禅、写経をするのですが、息子は私と同じで膝が悪いので正座が苦手です。

かなりきつかったようですが、最後までやり遂げてくれました。
最終日は夜中の2時にたたき起こされて30Km歩き続ける修行でした。
普段できない経験をさせてもらい女房ともども本当に良い学校に入ることができたと喜んでいます。

最澄も空海と一緒に遣唐使としてキリスト教の教典を持ち帰ってきたひとりとして、岩畔もゆかりがあることに畏敬の念を抱かざるをえません。

今、核のゴミを始めとして、財政赤字はもちろんのこと、負の遺産を子供たちの未来に押し付けて、子供たちに犠牲を強いようとしています。
子供たちの未来を犠牲にして、今の生活の安寧は、あってはいけないことです。


我々大人たちにとっては、子供たちが希望なのです。

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