2024年5月12日日曜日

HBSRMGのモビリティへの活用について

 

 

 ハイブリッドSRモータージェネレーター(HBSRMG)蓄電池等からの直流をONOFFのスイッチングによる矩形波駆動が可能であるため通常のモーターのようにインバーターによって直流を正弦波にして駆動するわけではない

正弦波によるアナログ制御ではなく矩形波によるデジタル制御のためエネルギー損失容積重量を削減できるメリットがある

 

 矩形波駆動であるSR(スイッチド・リラクタンスモーターは高速運転には適するが低速運転時のトルク不足が課題であったが、HBSRMGではこれを解消できた

 正弦波駆動と矩形波駆動では矩形波駆動の方がパワー半導体の性能向上によりモーターに対して時間あたりの電流値を大きくすることができるためトルクを向上電流値の二乗に比例させることができる

また永久磁石は回転磁界を形成するわけではなく永久磁石の磁力線は電磁石の磁力線と合成されリラクタンストルクとなる

起磁力は通常の永久磁石を使わないSRモーターではアンペアターン電流値とコイルの巻き数の積によるわけだが、HBSRMGはコイルの磁力線と永久磁石の磁力線の相乗効果によりターン数を大幅に減らすことができその分コイルの抵抗値も大幅に小さくなるので電流を大量に流すことができる

よって大トルクを出すことができる

 これは通常のモーターとは永久磁石の使い方磁場の形成が違うためと思われる
つまり永久磁石による磁路と電磁石による磁路がより近い磁路あるいはより磁束密度の薄い磁路を自動的に光速で選択して切り替わっていくためと思われる

これにより永久磁石ネオジウム系の使用量もIPM等と比較して1/4以下に減らすことができる

 

 通常のモーターシステムはモーターインバーターギア等で構成され電気信号を制御するインバーターを通してバッテリー等からの電気エネルギーをモーターへ伝達しモーターから発生した動力をギアを通して運動エネルギーとしてタイヤ等に伝えることでモビリティが駆動するこの一連の過程において各機器で損失が発生する

 

 モビリティに求められるパワーや積載性とシステム効率を両立させるには、①出力密度(kW/kg)の向上、②小型化・軽量化、③損失低減、④効率的な熱マネージメント等が必要となる

 

 これらを実現するために、HBSRMGにおいてはギアも不要であり連続定格運転領域が広いので冷却機構簡略化できティースのアゴと永久磁石の相乗効果特許登録済みにより体格の割にはコイルスペースを広くとれ銅損低減できる

 

 ギアが不要でモーターシステム効率と出力密度を同時に向上させることができるので軽自動車商用車空飛ぶクルマ等の電動化を促進させることができる

 

 近年ではモーターシステムの高出力化の実現のために高回転化と多段ギア活用の方向で開発が進んでいるがシステム効率の向上には課題も生じておりシステム効率向上と出力密度を同時に達成する抜本的な技術開発が必要とされている

 

モーターシステム効率と出力密度

 限られた蓄電池容量に対する航続距離を拡大していくため平均のモーターシステム効率として85%以上の実現を目指す

 

通常はモーター単体で最高効率95%といえどもインバーター低速運転帯域減速ギヤ冷却機構等のロスにより平均のモーターシステム効率は60~70%となってしまう

 

 同時により幅広いモビリティ領域の電動化を可能とするためモーターシステムの小型軽量高出力化の目標目安としてモーター単体で8.0KW/kg、モーターシステムとして3.0 KW/kgの出力密度を目指す

既存の一般的な電動車に搭載されている現行モーター単体で4.0KW/kg前後モーターシステムとして1.0~1.5KW/kg程度と言われておりその大幅な改善(2倍以上を目指す

 

 モーターシステム効率値につてはモビリティ用途ではストップゴーが多くまた坂道発進や高速道路走行も想定されモーターの回転数トルクおよび出力が大きく変化する中で電気の消費効率を向上させるためには幅広い帯域全体にわたってのシステム効率の向上させることが重要であるため最高効率値ではなくWLTCモード世界統一試験サイクル等の一定のモード走行時のシステム効率の全体平均値として評価する

価格目標またはそれに類する目標については商用化段階に想定される設備投資・資源価格等をベースに合理的な試算を行い目標達成を評価するものとする

 

 モーターシステムにおける近年の研究開発のトレンドとしてモーターをより高速化して多段ギアで減速することで低回転領域での高トルク化を実現する方向で開発が進んでいるしかしギアの多段化によるサイズ・重量の増大によるモーターシステム全体としての出力密度向上は現在の技術水準では飽和しつつありまたモーターシステム効率にも課題がある

本プロジェクトではモーターシステム効率と出力密度を同時に大幅に向上させることを目標として掲げており従来の取組の延長性にはない抜本的な技術革新となる

 

20245

()ゲネシス・ラボ

代表取締役 荻野三四郎

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